頭痛について
こんにちは。
はりまだ鍼灸整骨院の延命寺です。
急に寒くなってきましたので
頭痛にお悩みの方多いと思います。
そこで今日は頭痛についてです。
頭痛に関する基礎知識
頭痛患者の数と分類
日本人の成人(15歳以上)を対象にした慢性頭痛の調査では、全体の約39%の3,900万人が慢性頭痛有りと回答しました。その中で最も多いのが緊張型頭痛であり、人口比率で22%の2,200万人、片頭痛は8.4%(男性3.6%、女性13%)の840万人、その他の頭痛(群発頭痛1%、頭部神経痛、低髄液圧頭痛、労作性頭痛)が9%の900万人でした(北里大学医学部内科 坂井文彦教授調べ)。なお、片頭痛、群発頭痛の患者さんの多くが緊張型頭痛を合併していると考えられています。
頭痛の種類と理解
頭痛は大きく、一次性頭痛(機能性頭痛)と二次性頭痛(症候性頭痛)に分けられます。
一次性頭痛は検査をしても異常が見つからない頭痛で、慢性頭痛、いわゆる頭痛持ちの頭痛です。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛は一次性頭痛に分類されます。
一方、二次性頭痛は何らかの病気によって引き起こされる頭痛です。中には、命に関わる重大な病気が原因になっていることがあります。そのため、二次性頭痛の可能性が認められる場合は、必ず専門医の診断を仰ぐ必要があります。くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍等に起因する頭痛がこれに分類されます。
頭痛発症のメカニズム
一次性頭痛の原因と発症メカニズムは、はっきりとは解明されていません。ここでは、頭痛の種類別に、有力視されている説を中心に紹介します。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は主に頸部、頭部、肩部、顔面の筋が緊張することによって起こるとされています。筋の緊張が高まると筋肉内の血流が悪くなり、筋に乳酸やピルビン酸が蓄積し、サブスタンスP、ブラジキニンといった物質の働きによって周囲の神経が刺激され、痛みが発生します。精神的、身体的ストレス、長時間の不良姿勢、運動不足、冷えが筋緊張を発生させる原因となります。
痛みは後頭部、側頭部、顔面と額、頭頂部を締めつけるように起こります。筋緊張は年齢、性別に関係なく起こるので、緊張型頭痛は男女比に差はなく、子供から高齢者まで幅広い年齢層にみられます。なお、更年期以降の片頭痛、薬物乱用頭痛は緊張型頭痛と症状が似ているため区別しにくいと言われています。
片頭痛
片頭痛は頭の片側あるいは両側の、主にこめかみから目の周辺が、ズキンズキンと心臓の拍動に合わせて激しく痛む発作性の頭痛です。通常一ヶ月に1~2回の頻度で出現しますが多い人では週に1~2回程出現することもあります。いったん発作が始まると数時間から2~3日は痛みが持続します。
片頭痛には、頭を動かすと痛みが悪化する、光や音、臭いに敏感になる、吐き気を伴う場合がある、などの特徴があります。また、首や肩のこり、生あくび、空腹感、目がチカチカする閃輝暗転、アロディニア*1と呼ばれる感覚障害が前駆症状として出現する事があります。男女比は1:4と圧倒的に女性に多く、特に20歳代から40歳代に集中しています。
片頭痛の発生メカニズムには諸説ありますが、最も有力視されているのは三叉神経血管説です。三叉神経は脳幹の橋から左右一本ずつ出てそれぞれに枝分かれし、顔面の皮膚、口や鼻の中の粘膜、咀嚼筋などを支配する神経です。脳血管の一部は三叉神経に取り囲まれていて、その部分が頭痛と密接に関係すると考えられています。
脳内の血流を一定に保つための神経伝達物質のひとつに、血管を収縮させる作用を持つセロトニンと呼ばれる物質があります。セロトニンが何らかの理由で血管内に大量放出されると①血管は収縮しますが、セロトニンが出尽くしてしまうと今度は逆に血管内のセロトニンが不足して②脳血管が急激に拡張します。
この血管の急激な拡張によって血管を取り巻く③三叉神経が興奮性を増し、三叉神経の末端から*2神経伝達物質が放出され、④脳血管の周りの神経が炎症を起こします。⑤そしてこれらの情報が大脳に伝えられ、痛みとなって現れる、というのが三叉神経血管説です。
他にも、ピロリ菌説、水痘ヘルペスウィルス説などがありますが、説がはっきりとしない、痛みを助長するだけである、などの観点からあまり有力な説とは考えられていません。
*1:アロディニア:片頭痛の情報が、まだ表面化せずに脳幹でくすぶっている段階で出現する感覚障害。頭部アロディニアとして、顔に風が当たると痛い、メガネやイヤリングが不快、髪を結んでいるのがつらい、くしやブラシが痛くて使えないといった症状が現れます。手足のしびれが出現したり、腕時計、ベルトを不快に感じる頭蓋外アロディニアが出現することもあります。
*2:サブスタンスPが三叉神経末端を刺激し、発痛物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドを放出させます。
群発頭痛
群発頭痛はその名前の通り、ある一定の時期に群発地震のようにしきりに起こる頭痛です。目の奥が、「火箸でえぐられるよう」と表現されるほど激しく痛み、目の充血や涙、鼻水、鼻詰まり、まぶたの垂れ下がりや腫れなどの特徴的な症状が出現します。
群発頭痛が起きる頻度は、一年に1~2回が一般的です。いったん頭痛発作が始まるとそれから1~2ヶ月の間は毎日のように痛みが起こり、この期間を「群発期」と呼んでいます。
群発頭痛は人によって発作の起きる時期や時間帯がほぼ決まっており、季節の変わり目や、就寝後や明け方に起こりやすい傾向にあります。
タバコや飲酒も一因となっていると考えらえており、男女比は7:1と圧倒的に男性に多く、特に20歳代から30歳代の男性に発症しやすいとされています。しかし近年では、女性の患者さんが急増しているという報告もあります。他の一次性頭痛と比べると極めて稀な頭痛です。
発症のメカニズムは片頭痛と同じく、三叉神経が関係していると考えられています。①1日の体内リズムが崩れるとその情報が視床下部から内頚動脈を取り巻いている三叉神経に伝えられ、②三叉神経がその情報を誤って痛みの情報として受け取って③炎症物質を放出した結果、④頚動脈が拡張したり炎症を起こしたりして⑤三叉神経を刺激し、痛みが発生する、という説です。しかし、はっきりとは確認されていません。
頭痛における医学的検査
問診
問診は、一次性頭痛なのか、命にかかわるような危険な二次性頭痛で精密検査が必要なものか、などを診断するための手がかりとなります。
血圧測定
片頭痛の人は低血圧気味の事が多く、血圧が高めの場合は薬物乱用頭痛などが疑われます。
触診
緑内障の疑い(まぶたの上を軽く押さえて眼圧をチェックする)、リンパ節の腫れ(耳の後ろから頸にかけて軽く押さえる)、頭部、頸部、肩部の筋緊張等の確認が行われます。
脳の画像検査
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍などを原因とする二次性頭痛が少しでも疑われる場合は、必要に応じて、CT検査、造影CT、MRI検査、MRA検査、脳血管造影などが行われます。
脳波検査
脳波検査によって、脳の神経細胞が正常に機能しているかのチェックが行われます。神経細胞から放出される非常に微弱な電気を、波形で記録して調べます。
血液検査
甲状腺ホルモンなどある種のホルモン分泌異常で片頭痛が悪化したり、群発頭痛に似た痛みが現れたりすることがあるため、ホルモン濃度を調べる血液検査が行われることがあります。
医師による頭痛治療と薬の薬理効果
緊張型頭痛
緊張型頭痛の治療には、鎮痛薬や抗うつ薬、筋弛緩薬が用いられます。
鎮痛薬
痛みが強いときには、頓服薬として、アスピリンかイブプロフェンが処方されます。それでも効果が弱い場合は、無水カフェインを少量含有している鎮痛薬が使われることがあります。ただし無水カフェインへの依存症を招き、薬物乱用頭痛に陥る危険性があるため、使用はどんなに多くても1ヶ月に10回以内にとどめるよう配慮されます。
抗うつ薬
緊張型頭痛に対して有効性が高いと考えられ、最も広く処方されているのが三環系抗うつ薬の塩酸アミトリプチンです。塩酸アミトリプチンは、痛みの閾値を上昇させます。そのために毎日の頭重感が改善されると考えられています。
筋弛緩薬
筋弛緩薬には血液の循環を促し、筋の過剰な緊張を緩める作用があります。頭痛を誘発する筋群の緊張や圧痛が強い場合に、鎮痛薬と併せて処方されることがあります。塩酸エぺリゾン、塩酸チザニジンといった薬が用いられます。また、筋弛緩薬ではありませんが、抗不安薬のエチゾラムを就寝前に服用して筋緊張をほぐし、頭痛を和らげていくという治療も行われています。
片頭痛
片頭痛に対して、以前は鎮痛薬またはエルゴタミン製剤が広く処方されてきました。しかし、双方とも頭痛発作の初期段階で飲まないと効きにくいため、患者さんはつい早めの服用を繰り返し、その結果、薬物乱用頭痛に陥るケースが増えてしまいました。
そこで現在主流になっているのがトリプタン製剤です。トリプタン製剤は痛みがピークに達するまでのどのタイミングで服用してもある程度痛みを抑えることができます。さらに片頭痛の随伴症状である吐き気や嘔吐を悪化させることがありません。
トリプタン製剤は三叉神経血管説に基づいて開発された薬で、脳血管壁に存在するセロトニン1B受容体に作用して脳血管の異常な拡張やむくみを抑えます。また脳血管を取り巻いている三叉神経の末端に存在するセロトニン1D受容体に作用して炎症物質の放出を抑制します。さらに、三叉神経の根元にある三叉神経核に存在するとされるセロトニン1F受用体に作用して、痛みの情報が脳に伝達される経路を遮断します。
トリプタン製剤にはさまざまな種類があり、日本では現在4種類が発売されています。薬の構造がそれぞれ少しずつ異なるため、ある種類のトリプタン製剤が効かない人でも、別のタイプが効く可能性があります。
スマトリプタン(イミグラン)
日本で最初に発売されたトリプタン製剤で、世界で最も広く使用されています。即効性があり、効果が現れるまでの時間は注射剤で10分、点鼻薬で15分、錠剤で30分とされています。さらに重症度に関わらず効果が高く、注射は救急で受診した重症の片頭痛発作の患者には必要不可欠と考えられています。錠剤や注射剤では、一過性ではありますが、頸のこりや胸部の不快感、吐き気などの副作用の可能性があります。
ゾルミトリプタン(ゾーミック)
吸収率が高く、少量(2.5mg)でも効果を発揮するトリプタン製剤です。錠剤のほかに、いつでも水無しで手軽に服用できる口腔内速溶剤があります。唾液で飲み込める口腔内速溶剤は、外出が多い人でも早期にタイミングを逃すことなく使うことができます。一時的に軽い眠気、めまい、倦怠感などの副作用が現れる事があります。
エレトリプタン(レルパックス)
日本で発売されているトリプタン製剤の中で最も効果がマイルドですが、最も作用時間が長いのが特徴です。発作時間が長く続く患者に有用な薬で、副作用もあまりありません。
リザトリプタン(マクサルト)
最も即効性に優れ、随伴症状の改善率が高く、24時間の頭痛消失率が高い薬です。眠気などの副作用があります。錠剤の他、いつでも水なしで服用できる口腔内崩壊剤があります。近年ではスマトリプタンの注射剤と同様に救急での使用が増えています。
このように、トリプタン製剤は片頭痛に対して有効性が高いと考えられています。しかし片頭痛発作を月に5~10回以上起こす人や、一回の発作の重症度が高い人にはそれだけでは足りなくなってしまいます。そこで必要となってくるのが予防的治療です。予防的治療は頭痛発作の頻度を減らし、痛みの程度を軽くするなどの効果が期待できます。
予防的治療に用いられる主な予防薬には、次のようなものがあります。
カルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬の塩酸ロメリジンには、片頭痛の第一段階として起こる脳血管の収縮を抑える効果があります。通常、1日10mg(効果が得られない場合は20mg)を3ヶ月にわたって毎日服用し、その後は症状をみながら、3~6ヶ月程度かけて徐々に薬の量を減らしていきます。
β遮断薬
降圧薬であるβ遮断薬の塩酸プロプラノールは、これまで片頭痛発作時の血管の異常な拡張を抑えることによって、片頭痛の予防効果を示すとされてきました。しかし近年は、片頭痛の際の光過敏に関係する
といわれている脳の後頭葉の神経細胞の興奮性を抑制することが明らかになってきました。
抗てんかん薬
抗てんかん薬には脳神経の興奮性を抑制する作用があり、片頭痛の予防に効果的であると考えられています。通常用いられるのはバルプロ酸ナトリウムで、特に光過敏が強い片頭痛や子供の片頭痛に効果的です。また中等度の発作が多い患者さんには、クロナゼパムも用いられます。
抗うつ薬
片頭痛の発症には、神経伝達物質であるセロトニンの異常な変動が深く関係しているため、抗セロトニン作用を持つ抗うつ薬が予防薬として用いられます。なかでも三環系抗うつ薬の塩酸アミトリプチリンは、痛みの性質が緊張型頭痛に変化したような更年期以降の女性の片頭痛に効果的であると考えられています。
ただし副作用として、眼圧が上昇することがあるので、緑内障の人は服用できません。
医師による片頭痛治療では、QOL(生活の質)の向上のために、以上のような予防薬がトリプタン製剤と組み合わせて用いられます。症状が強い場合や、月経に関連して起こる片頭痛などにおいては、これらに加えて鎮痛剤も処方されることがあります。
群発頭痛
群発頭痛の薬物療法には、頭痛発作が起きたときに痛みを軽減させる頓挫的治療と、群発期に毎日服用して発作の頻度を少なくする予防的治療があります。群発頭痛の予防薬の種類や量は、重症度、その前の年の発作の頻度や程度によって決まります。そのため患者さんが自分自身で発作のパターン、群発期の時期や長さ、時間帯、持続時間、随伴症状をしっかりと把握しておく必要があります。
群発性頭痛には片頭痛と同じく脳血管が関係すると考えられていますので、頓挫的治療にはトリプタン製
剤が用いられます。中でも多く用いられるのが、スマトリプタンの点鼻薬です。群発頭痛は発作時間が短いため、錠剤よりも即効性が高い点鼻薬が用いられます。
予防的治療には、カルシウム拮抗薬、副腎皮質ホルモン薬、抗てんかん薬、抗そう薬などが用いられます。副腎皮質ホルモン薬、カルシウム拮抗薬
副腎皮質ホルモン薬であるプレドニゾロンには三叉神経の炎症を抑える働きがあり、脳血管の異常な拡張を抑えるカルシウム拮抗薬の塩酸ベラパミルと組み合わせて用いられます。塩酸ベラパミルは、服用を始めてから予防効果が現れるまでに2週間程かかるので、それまでの間にプレドニゾロンを併用します。塩酸ベラパミルには、低血圧やむくみ、脈が遅くなる、便秘などの副作用があり、長期に服用する場合は注意が必要です。また副腎皮質ホルモン薬を服用すると、消化管潰瘍や血糖値の上昇、肥満傾向、うつ傾向などの副作用が現れることがあります。
抗そう薬
抗そう薬の炭酸リチウムは気分を安定させる薬ですが、脳の視床下部に作用することから、群発頭痛に予防効果を示すとされています。副作用として下痢などの消化管症状が現れたり、肺の繊維化が起こったりすることがあります。また塩酸ベラパミルと併用すると、血液中のリチウム濃度が上昇して副作用が強く出てしまうことがあります。
薬物乱用頭痛
薬物乱用頭痛は鎮痛薬を頻繁に服用することによって脳の神経が敏感になり引き起こされる頭痛です。鎮痛薬、特に無水カフェインを配合する薬を服用している患者によく起こると言われています。通常1ヶ月に15日以上鎮痛薬を服用している場合に、薬物乱用頭痛と診断されます。ただし10日以上飲むようになりますと、薬物乱用頭痛を引き起こしやすい状態であると言えます。
薬物乱用頭痛を治すには、一時的に苦しむことはあっても、原因となっている薬の服用を止めなければ治りません。
薬物乱用頭痛に対しては、原因薬剤の服用を止め、代わりに依存性のない予防薬に切り替える治療が行われます。予防薬として主に用いられるのは、薬物乱用で生じた脳の過敏性を低下させる抗てんかん薬や不安を取り除く精神安定剤です。このうち、抗てんかん薬は最低でも3ヶ月程度は服用を続けます。抗てんかん薬の中ではバルプロ酸ナトリウム、クロナゼパムなどが用いられます。
こうした治療を受けても自力で薬をやめられない患者さんや、一度やめても再び薬物乱用頭痛に陥ってしまう患者さんは入院を余儀無くされることもあります。
頭痛は筋肉から引き起こされるケースが多いです。
早めの処置で改善します。
早期の予防、治療をして快適に生活していきましょう」